コラムNo.011 おしっこが出ない! (イヌ編)
動物にもある尿石症 (イヌ編)
前回お話した尿石症は確かにネコに多い病気ですが、もちろんイヌにもみられます。症状はネコと同じですがネコの場合、微細な砂状の結晶でも尿道がもともと細いため詰まりやすいと言えます。しかし、イヌはネコにくらべ尿道が太いため砂状のものは気がつかない間に流れ出ていることがありますが、実は大きな尿石ができることがあります。これが尿道に詰まると、ネコ同様たいへん苦しく至急処置を施さなければ命に関わります。膀胱から「石」の摘出手術を行うのは、ネコよりイヌのほうがかなり多いようです。大きな膀胱結石を手術で摘出しても、原因を見極めて治療しないとまた数ヵ月後に尿石で苦しむことになります。
次に、イヌは中高齢期(6,7歳以上)になると、前立腺疾患や膀胱の腫瘍なども目立ってきます。前立腺は精液を分泌する器官で雄イヌだけにあるもので、膀胱の出口部分の尿道を取り囲むように存在します。この前立腺はときに精巣の男性ホルモンの影響で肥大化することがあります。それが、いわゆる「前立腺肥大」です。
前立腺肥大をおこすと、尿道を圧迫しておしっこを出にくくしたり、上を通る直腸をも圧迫して排便障害を引き起こすこともあります。この病気の治療としては、内科療法として薬を服用することもありますが、一般的には去勢手術として男性ホルモンの出どころである精巣を摘出します。そうすると短期間に症状が改善されます。できれば若いうちに去勢手術をしていれば、前立腺疾患に悩まされることはほとんどありません。
これらの泌尿器に関わる病気は、まずおしっこに異常がでることがほとんどです。日頃からおしっこの回数や色をチェックする習慣をつけておきましょう。