コラムNo.006 狂犬病(その2)
犬はどうして登録と狂犬病注射が必要なの?
-
- 登録料(鑑札交付料) 3000円(生涯一回)
- 狂犬病注射料 2500円・注射済票交付手数料 550円(各年一回) ~福岡市~
(手続き、注射は動物病院でできます。)
昭和25年、第三次吉田内閣のとき『狂犬病予防法』が公布されました。この法律では次のように定めています。
→ 「犬の所有者は、犬(生後91日以上)を取得した日から30日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長に犬の登録を申請しなければならない。」(第四条)
→ 「犬の所有者は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。」(第五条)
→ 「第四条の規定に違反して犬の登録の申請をせず、鑑札を犬に着けず、又は届出をしなかった者。第五条の規定に違反して犬に予防注射を受けさせず、又は注射済票を着けなかった者。これらに該当する者は20万以下の罰金に処する。」(第二七条)
「集団免疫」これは医学用語ですが、ある集団のなかである一定の数以上の免疫が成立していれば、たとえ病気が発生してもその病気の拡散はその集団内で食い止めることができるという意味です。そこで「狂犬病」の場合、「集団免疫」は75%が必要だという報告があります。では我が国の接種率はというと、実は50%に満たないのではないかといわれています。つまり、国内に「狂犬病」が上陸したら・・・・(診察室でよく聞く話)・・・・「先生、狂犬病って日本にはないんでしょ。うちはいいわ、外にはほとんど出ないから。」 犬を抱っこして爪切りに来たこの飼主さんに、これまでの話を全部したらきっと二度とうちの病院には来ないでしょうね。
長い間「狂犬病」が発生していないものですから、しょうがないことではあります。実際国民はもとより、行政機関の職員、医師、獣医師においても、「狂犬病」に関する知識が行き渡っておらず、その発生時にパニックを起こさないための迅速・適切・組織的な対応が求められています。しかしながら、現状のままではあの「狂牛病」さえ比較にならないほどの騒ぎになるのではないでしょうか。いつものように対応が後手ごてとなり、飼い犬はすべて殺処分なんてことも考えられます。それなら可哀相だと、外に逃がした犬が感染し野生動物にまで広がったら立派な「狂犬病常在国」です。
このような状況の中でお役所も頑張っています。「狂犬病発症時の行政機関等の対応マニュアル作成に関する研究(厚生科学研究)」という報告書がまとめられ、これに対する関係機関の意見を踏まえ、「狂犬病対応ガイドライン2001」として厚生労働省より関係機関に配布されたところです。 しかし、まだここまで。国民への知識普及にはまだまだ、診察室での理解、普及にも限界があります。
「狂犬病」にかからないことだけが目的ではなく、家族の一員であるかわいいうちの子が巻き添えの殺処分に会わないためにもしっかり鑑札を手に入れましょう!!・・・・費用は上述してあります。 あした動物病院で言いましょう、大きな声で。
「センセッ、 狂注1本!」
次回につづく