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コラムNo.028 ごはんのはなし(その4)

コラムNo.028 ごはんのはなし(その4)

ペットフードで愛情かけるなら、喰いっぷりではなく「品質」にです。

日本の消費者は、神経質なところと同時に無神経なところもあるように感じます。たとえばドライフードですが、封を開けて使い切るまで常温に置いて悪くならないことが当たり前と思われており、ちょっとでも痛むとすぐ抗議(クレーム)の電話をするなんてことも。そこまでしなくとも不買対象にする。また、食いつきが悪いとか喜んで食べないとすぐに烙印を押す。
よーく考えるとこれっておかしくないですか? もうわかりますね。

肉や油脂を使っているのですから痛むのは当然、常温ならなおさらです。数週間保管に気を使わなくても悪くならないのは保存料がたっぷり入っているからです。あまり食いっぷりのよいフードには、後付けの怪しい香料や過剰な塩分・糖分が添加されていることもあります。低価格で長期保存を可能にするためにはどんなことでもするというメーカーならば、所詮人が食べるわけでもないし規制が曖昧なペットフードですから、先のいろいろな手段を講じることができます。ここが安さの秘密です。疑心暗鬼になるのも気が引けるのでこれ以上あまり言いたくないのですが、われわれが口にする生鮮食品でもよく取り沙汰される偽装問題。輸入品を国産、養殖を天然と偽ったり、原産国表示も適正でなくまた国内でも原産地を偽装するなど摘発すればいくらでもある状態です。無添加表示なのに保存料入り、入っていないはずの抗生物質や農薬が高濃度で検出される事件もあります。人間用でさえこれです。ペット用でもフードに限らず、ジャーキー、ガムやその他のおやつなども無添加表示がありますが、信用するには「健康」を担保に勇気が必要ではないでしょうか。「ヘルシー○○」なんてどこがヘルシーなのか、「歯の健康に○○」といっても内臓にはすこぶる負担、そんな製品が巷にあふれています。おやつを買う余裕があるなら、少しでも良質のフード購入に費用を回したほうがいいのではないでしょうか。

それでは、どんなフードを選択すればよいのでしょうか。まず、賞味期限が短く、開けるとすぐに悪くなるのが保存料などの添加物が入っていない、あるいは最小限にしてある良いフードといえるでしょう。こういったフードは、「プレミアムフード」とも呼ばれ、近年原材料を気にする飼い主が増え、これらの需要も伸びています。その中でも主にインターネットや特約店で販売している純国産のこだわりフードは、完全無添加で原材料もすべて国産(人間の食用と同等品)、さらには犬種や個々の体質にも合わせたオリジナルフードも注文販売してくれるようなものもあります。ただし、これらのフードはポテトチップス(100g=100円)の2~3倍前後くらいはします。でも、本当に良いものはそれくらいして当たり前なんですよね。このタイプのフードは、何kgもの大きなサイズはありません。それは一度開封すると、すぐに使わないと傷んでしまうからなのです。見方を変えれば、それは「食品」として適正と言えます。気温の高い時期は、冷蔵庫に保管するのもよいでしょう。翻って、一般のフードがあまりにも廉価なのですが、消費者がこれに慣らされてしまい適正価格がイメージしにくい状況になっています。ここらへんの価値観をまず切り替えることが、なにより選択のポイントだと思います。ポテトチップスよりずっと安いフードには手を出してはいけません。
それともうひとつ、「よいものをやる」ではなく、「よいほうをやる」と考えたほうがもう少し気軽に選べるかもしれませんね。